京極夏彦スペシャル2 [小説]
夏だ!妖怪だ!京極だ!
ということで、姑獲鳥の夏はもうご紹介したので、今日は"京極堂シリーズ"一挙ご紹介していきたいと思います。
『魍魎の匣』
第49回日本推理作家協会賞を受賞した作品です。
美少女バラバラ殺人事件がメイン。"ハコ"と組み合わせて考えてみてください。大体正解です。憑き物おとしが今回も痛快です。これもなんとなく(何かわからないハコを持つというあたりが)金田一少年にも出てきたなーという感じ。ラストに力があるので「もうちょっともうちょっと」と言う間に読み終わってしまう作品です。閉所という特殊な空間が持つ力が、十二分に発揮されている作品と言えると思うのです。
『狂骨の夢』
伊佐間一成(いさま屋)が中心人物になった作品。今回は謎解きが100P以上もある!のです。死霊となった元夫と、それを殺してしまった妻。髑髏が非常に不気味なのですが、髑髏が何を象徴するのか、非常に考えさせられるのが正直ウマイです。不思議が不思議でなくなる整然とした憑き物おとしの熱が突き抜けていく一瞬が、とても読んでいて気持ちの良い作品です。
『鉄鼠の檻』
中禅寺・関口夫妻が箱根湯本富士見屋に舞台を移しての四作目。世間では失敗作との評判が高いのです。見立て殺人が見立てになっていない、動機が(説明を聞いても)よくわからない、最初のシチュエーションだけで犯人がわかってしまう、など、ミステリじゃないだろう!という声が多々…。最初の僧侶の死体に関しては榎木津がさっさと解いてしまうのですが、事件は連続僧侶殺人事件へと発展してしまうというストーリーです。確かにちょっと昇華不足…消化不足の感は否めません。
『絡新婦の理』
前作は何だったのか?!と思えるほどのクオリティの高さ!!!私はこの作品が一番好きです。
閉鎖的な空間ならではのオカルティズムをうまく作品の鍵のひとつに利用している点。男女の情の形の豊かさが表現されている点。さらに女郎蜘蛛というだけあって、蜘蛛の糸のように絡まる情報を、憑き物おとしでうまく整合させる姿が久々の好感触。最後そしてさらに…というオチが完璧に「やられた!」という感じで、もう盛りだくさんの内容に大満足です!
…さすがにここまで書いてきたら疲れました…。「塗仏の宴」二作と「陰摩羅鬼の瑕」は次回!
こんばんは。
京極堂シリーズ第2作の「魍魎の匣」を先日やっと読み終えました。
結構なボリュームだったので、少々疲れましたが、なかなかの内容でした。
今日「狂骨の夢」を借りてきたので、今度はこれを読みます。
これまた、分厚いので、読み終えるまで時間がかかりそうです。
by じゅぴたー (2006-07-13 22:35)
じゅぴたーさん、コメントありがとうございます!
結構なボリュームは、ぬりぼとけになるとあきらめに変わってきますよ。
狂骨は謎解きというか、憑き物おとしというか、いつもの京極が非常に細かく描写されていて面白いですよ!一気に読み終えてしまうこと請け合いです。
by lilli (2006-07-14 13:56)