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魔王 [小説]


 先に『魔王』を入手したのでこちらから読了。
 伊坂幸太郎著『魔王』読了日記です。

 伊坂にしては、テーマが重すぎた…というか、ファシズムという政治的なものに正面から言及するという珍しい作品です。意欲作なんでしょうが、本来の伊坂の良さを薄めてしまったような印象があります。それでなくても明治期からの日本の政治思想史というものは、専門に研究している人間でも難解なことがたくさんあるわけで、ずいぶん消化不良の印象を受けました。(思想史を勉強している人間の近くにいると余計にそう感じるのかもしれませんが)
 もうちょっと政治色を薄めて、伊坂色に染めるか、伊坂色を消して新しい世界を切り開くか、どちらかにしたほうがよかったのでは?と思ってしまいます。なんとなく、うん、ほんとなんとなく消化不良。やるなら田中芳樹の「薬師寺涼子シリーズ」や「創竜伝シリーズ」くらいはっちゃけてもよかったんじゃないかなあと愚考してしまった次第。
 オーデュポンのような異世界から現実世界にまで、伊坂の理想フィールドを広げてきたわけなのですが、ここに来て少し屋台骨がぐらついたような…。

魔王

魔王

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/10/20
  • メディア: 単行本

 


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コメント 2

こんにちは。
私も伊坂幸太郎氏の作品にはまっています。
確かに、「魔王」は独特ですよね。
でも、いまでも最後の"消灯ですよ”というフレーズが
頭にこびりついています。
by (2006-06-30 00:42) 

lilli

 makimakiさん、はじめまして、こんにちは。
 言葉に力があるのは伊坂作品の特徴でもありますよね。私は"考えろ考えろマクガイバー"という台詞が印象的でした。
 スイカの種のエピソードなど、全体主義を"考える"上でこれ以上のたとえも無いだろうなと思いました。
 コメントありがとうございます!
by lilli (2006-06-30 08:00) 

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