春の雪 [小説]
今日は予告どおり?純愛モノです。普段あまり恋愛モノは読まないのですが、これは別!
とはいえ、文学作品には違いないのですが…。
三島由紀夫著『春の雪』です。
『豊饒の海』の第一巻でもありますね。竹内結子主演で映画化もされました。宇多田ヒカルの「Be My Last」が主題歌で、とても雰囲気に合っていて素敵だなあと思っていました。
主人公松枝清顕(まつがえきよあき)は、幼い頃を姉弟のようにして過ごした聡子に淡い恋心を抱くようになる。それは聡子も同じなのだが、不器用な二人はすれ違い、ついに聡子は宮家への縁談を承知する。清顕はそれを知って強引に体の関係を持ち、二人は戻れない愛の泥沼にどっぷりと浸かっていってしまう…。
清顕が大体わがままなんだよー!というはじめの私の印象はともかく、ボタンをひとつ掛け違えただけで、どうしてこんなことに…ということはよくあることなのかもしれませんが、潔いまでに何かに殉じるという熱さ・まっすぐさは、三島文学の真骨頂だと思うのです。
三島の文学に登場する人間の心は、国家という抗えないものによって翻弄され踏みつけにされても、それでもなお美しさを失わない。繊細な筆致で描かれた人物達の魂が、現代の私たちの心にまで響く、名作だと思います。
淡い春の雪のような思い、と映画の宣伝ではありましたが、寧ろ桜の散るさま、桜吹雪をこそ"春の雪"と捉えたいような、そんな気持ちにさせてくれます。
あとついでに、主題歌が素晴らしかった宇多田ヒカルの最新のアルバムも!(「Be My Last」も収録)
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