奇跡の人 [小説]
暫く空いてしまいましたが、その間に「ダ・ヴィンチ・コード」「4TEEN」「陽気なギャングが世界を回す」などを読了していました…。なかなか文章を書く気になれなかったのですが、今回の『奇跡の人』はとある人に読んであらすじを教えてくれと言われたので、読了。結構いつもこんなもんです。他の作品についても随時…かいていけたら…いいな…。
真保裕一(しんぽゆういち)著『奇跡の人』
作者は『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞を受賞した人ですね。タイトルをはじめて聞いたとき「ヘレン・ケラーの物語か?」と思ったのは私だけではない…はず…。
脳死判定寸前であった主人公が、母親の献身的な介護により「奇跡的」な復活を遂げる。植物人間になってもおかしくないほどの重症であったのが、八年の入院生活により、日常生活にほぼ支障をきたさないほどの回復を遂げたのだ。しかしその八年より前の記憶を、彼は失ってしまう。
物語はすい臓ガンで亡くなった母の手紙からはじまり、彼は「奇跡の人」として新しい生活をはじめようとする。「前の」自分の臭いのしない部屋に疑問を抱いた彼が取った行動により、彼がなぜこのような重大な事故を起こし、なぜ八年も入院生活を余儀なくされ、なぜ彼の母が彼の"前世"を抹消しようとしたのかが明らかになってくる。果たして彼は、"誰"なのか。彼の自分探しの旅が始まる。
ぼくはぼくではなかったのだ。ぼくは相馬克己だった。八年前に彼は死んだわけではない。記憶をなくしただけで、今も彼は生き、行動している。この体で、この顔で、声で、目で。相馬克己は生きている。この体が朽ち果てない限り、彼は生き続ける。もともとこの体は彼のものなのだから。
でも---。
ぼくは誰なんだろうか。今この体を借りて、ふらふらと歩き、痛む頭を抱えているのは、誰なのか?
(本文より)
個人的にラストがいまいち…。聡子の行動が不可解というか、贖罪?なのか、過去が描ききれて居ないような感じがして、しっくりときませんでした…。彼が自分探しを始めるまでの時間もあまりにも短いというか…(その辺は焦燥感と子供っぽさを出したかったのかもしれませんが)。
ただ、母親と子供の絆というか、母"親"の多面性が出ていて、感動だけでなく、生々しい感情も吐露されているところに、リアリティを感じました。
最後の著者紹介で、この作品について「圧倒的な人間愛を描いた感動の~」とあったんですが、どうもそれには承服しかねるというか、愛というエゴイスティックなものに真正面からぶつかっていった作品、としたほうが良いように思えました。
ガツンと頭を殴られるような衝撃を味わいたい人に。
これって昔、山崎まさよしが出てドラマになった話ですね?
見てましたよ、ドラマは〜
でも、あらすじ読んだらドラマは結構アレンジしてあるようですね^^
by のな (2006-09-11 11:37)
のなさん、コメントありがとうございます。
まさやんのドラマは…見てないです…そんなのあったんですね。ドラマアレンジは最近本当に多くてびっくりします。サプリもすごいアレンジだし…。
今はバッテリーを読んでいるので、また書きますね。バッテリーも映画化ということで非常に楽しみにしているんです!
by lilli (2006-09-14 09:45)